新型コロナウィルスの感染拡大による影響で旅行需要が減少し、飛行機を利用する人が大幅に減っています。
世界各国で状況は多少違いますが、前年比で90%以上の利用客が減っている状況です。
各国の航空会社はなんとか経営を維持していますが、中にはすでに経営破綻している会社も存在します。
先月(2020年4月)にはオーストラリアの第二の航空会社が破綻したばかりです。
世界中の航空会社が国有化に向けて動き出している?
各航空会社は売上が大幅に減少しているのに加え、航空機のリース料や従業員の給与など様々なランニングコストが発生しています。
売上がないのに大きなコストがかかるというのは経営をしていく上で危機的状況です。
世界での航空会社国営化の動き
各国政府は、国を代表する航空会社を救済し再建させる姿勢を持っています。
例えば、イタリアのパトゥアネッリ産業相は4月下旬、アリタリア航空の完全国有化を正式表明しています。
また、ポルトガルのコスタ首相もTAPポルトガル航空について「国有化の可能性を排除しない。不可欠な企業を失うリスクは取らない」と明言しています。
さらに、フランスのルメール財務相もエールフランスなどを「必要なら国有化する」と明言しています。
日本でも航空会社の国有化はあり得るか?
以前、JALが経営破綻した際の再建のことを考えると可能性としては0ではないと思います。
ただ、国有化するとなると一部の民間企業を優遇することにも繋がるため、他の航空会社やその他の業界の企業から多くの批判を浴びることになるでしょう。
実際に、海外をみてもアイルランドの格安航空会社は政府の不平等な支援策などについて批判しています。
現状は、日本のANAなどは1兆円近く資金調達を確保していますので当分の資金繰りは問題ないですが、このままコロナの影響が続くと毎月赤字になってしまいます。
国有化ではなく、融資などの支援でどこまで乗り切ることができるかが注目ポイントですね!
航空会社が国有化されたら株価や株主はどうなるの?
日本においても過去に銀行や東京電力など大手民間企業が国有化されたことがあります。
国有化されると株価や株主はいったいどうなるのでしょうか?
「一時国有化」
1998年の「日本長期信用銀行」と「日本債券信用銀行」、「日本航空(JAL)」が経営破綻した際は一時国有化されています。
一時国有化された場合、企業の発行していた株式は100%減資されることになるため株式の価値は0になります。
要するに、一時国有化された株を保有していた投資家の株は紙くずになり資産をすべて失うことになります!
「実質国有化」
2003年の「りそな銀行」が経営破綻した際は実質国有化されています。
実質国有化された場合、企業は従来の株式をそのまま残すことができ、その上で政府に新株を発行して大株主になってもらうことになります。
実質国有化されても株は取引所に上場してい売買できる状況であるため、株を保有していた投資家は全資産を失うことにはなりません。
※株式価値が希薄化して株価が下がることはあり得ます。